コンタクトレンズ 意外な落とし穴 ソフト新素材、化粧品で変形
新年度がスタートし、気分一新でメガネからコンタクトレンズに変えようと考える人も...
新年度がスタートし、気分一新でメガネからコンタクトレンズに変えようと考える人も多いだろう。いろいろな素材や機能が次々と登場するなか、自分の目にあったレンズを選ばずに間違った使い方をすると、深刻な目の病気を引き起こしかねない。
コンタクトレンズには大きく分けてソフトとハードの2種類がある。ハードタイプがごろつき感があるのに対し、ソフトタイプは初心者でもフィット感がよいのが特徴で各メーカーとも開発を競っている。年々シェアを伸ばし、およそ9割がソフトタイプだ。
ソフトタイプで話題の素材がシリコンハイドロゲル。従来のハイドロゲルより酸素透過性に優れ、目に優しいと急速に広がっている。
ゴロゴロする症状
しかし、近畿大学でコンタクトレンズ外来も担当する月山純子・山本病院(和歌山県橋本市)眼科医長のもとには、この新素材に切り替えて「ゴロゴロする」と訴える若い女性患者が相次ぐ。
月山氏がコンタクトメーカーのチバビジョンと共同で調べてみると、アイライナーなどの化粧品やクレンジング剤の影響で「レンズが変形することがわかった」という。酸素透過性を高めるために使ったシリコンが疎水性で、従来素材よりも油脂成分やたんぱく質の汚れがつきやすいのが原因だった。「コーティング方法を研究し、油脂成分を吸い込まないよう工夫している」(チバビジョン)が、レンズをつけたままの化粧落としは、変形の原因になり、装用感の悪さや破損にもつながるので避けてほしいという。
道玄坂糸井眼科医院(東京・渋谷)の糸井素純院長は「どんなに素材がよくなっても、連続装用をするとトラブルは増える。まして正しく使わなければ目に障害が起きる」と警告する。同医院に駆け込んだ49歳の男性は、1日で使い捨てにしなければならないソフトタイプをケア用品で洗うなどしてずっと使い続けていたため、角膜に細菌性の白い斑点ができた。目の酸素不足を起こし水分調整を担う角膜内皮細胞が変形したり死滅したりする例や、緑膿菌に感染し2日で失明寸前に陥る例などが後を絶たない。
誤った使い方指摘
昨年冬、国民生活センターはケア用品と目の病気に関する注意点をまとめた。眼科医らは「商品そのものに消毒効果がないというより、使い方が間違っている」と指摘、ケースから取り出してもう一度使う時には「指示されていなくてもとすすぎは必ず、できればこすり洗いもしてほしい」(糸井院長)と強調する。消毒液などは放置すると1カ月で1割程度は消毒能力が落ちるため、なるべく小さなボトルでの購入を勧めている。
コンタクトレンズの購入法にも注意がいる。低価格品を扱う販売店には眼科を専門としない医師がいる場合も多い。購入後も3カ月に1度のペースで診察が必要だが、レンズを購入するための処方せんが1年間有効だったりする場合もある。
選択ミスに特に気をつけたいのが普及し始めた老眼用コンタクトレンズ。老眼鏡と同じようにははっきりと見えにくいという苦情の声も多い。
都内在住の会社員Kさん(男性、46)は、ハードタイプの老眼用コンタクトレンズを選択した。「本などを読むには問題がなかったが、パソコンを利用しようとすると画面がよく見えない。ピントが合うまでに時間がかかる気がする」と、わずか1カ月でコンタクトレンズをあきらめた。「両目で約5万円の出費は痛かった」とぼやく。
Kさんが選んだのは「交代視型」で老眼鏡のように上下で遠近が分かれる方式。視線を移動させなければならない。手元を見た時はよく見えるが、パソコンは真っすぐ見るためピントが合いにくい。
メガネと併用を
もう1つが「同時視型」で、レンズの中心から遠用、近用と交互にゾーンを同心円状に配置してある。視線を移動させなくても遠くも近くも自然に見えるというが、ライトの点灯が菊の花のように見えるなど、ぼやけたり暗く見えたりしやすい。
糸井院長は「老眼になった時に、一足飛びに老眼用コンタクトレンズを購入するのではなく、近視矯正でコンタクトを使っている人なら度数を1、2段階下げてみるのもよい」と助言する。近くを見る時はコンタクトを使い、遠くを見るときだけメガネをかけるなどで対処も可能だ。
