カラーコンタクトレンズ:増える目の障害
カラーコンタクトレンズ:増える目の障害
「目が大きく見える」と若い女性に人気のカラーコンタクトレンズ。普及に伴って、目の障害も増えている。学会の昨夏の調査では重症例も報告され、専門医らは「医師の診察を受けて適切に使ってほしい」と、注意を呼びかけている。
●瞳くっきり、大きく
インターネットでは、カラーコンタクトレンズを販売するサイトがさまざまあり、「激安」「かわいく盛れる」「モデル愛用」などの文字が躍る。色やデザインも驚くほど豊富で、レンズがリング状に着色され、瞳をくっきりと大きく見せたり、茶や青、グレーなどに変えたりできる。「度」があるものやないもの、1日使い捨てから「1年使用で経済的」とうたうものも。東京都内の量販店では、つけまつげと同じ売り場に並べられ、女性たちが次々に購入していった。
「髪や爪に色を付けるのと同じ感覚で、目の色を変えようというおしゃれ目的のレンズが普及してきた」。日本コンタクトレンズ学会の植田喜一常任理事は説明する。厚生労働省の承認を受けたカラーコンタクトレンズは、09年は10品目以下だったが、13年1月時点で19社258品目と急増している。
●角膜の表面に傷
使用者が増えていることを受けて、同学会の小委員会は昨年7月から3カ月間、会員の眼科医に報告を求めたところ、全国から395件の目の障害事例が上がった。角膜(黒目)の表面に細かい傷が付く「点状表層角膜症」(36%)が最も多く、傷が深くなり重症な「角膜浸潤」(17%)、「角膜潰瘍」(5%)もあった。結膜(白目)から出血する、カラーレンズ特有の障害も見られた。視力障害が残る可能性のある人が2・8%いた。
女性が圧倒的に多く、29歳以下が全体の88%を占めた。特に15〜19歳が40%で、中高校生から装着する人が多いと推測された。自覚症状は「充血」「痛み」「異物感」「目やに」が多かった。
●こすると色落ち
レンズ自体に問題があるものもあった。比較的安全なレンズは、色素をレンズでサンドイッチのように挟んだ構造で、色素が目に直接触れない。しかし、調査では、レンズの内面や外面に着色している製品もあった。調査を担当したワタナベ眼科(大阪市)の渡辺潔院長は「ひどい製品では、綿棒でこすると色が取れるものもある。内面に色が印刷されている場合、色素が角膜をサンドペーパーのようにこする可能性がある」と指摘する。酸素透過性の低い素材も多く、角膜が酸素不足になると目のトラブルも起こしやすい。
学会では「適切に使用しなければ、失明などの重篤な障害を引き起こす」として、購入時は眼科医の診察を受ける▽使用方法や期間を守る▽定期検査を必ず受ける▽少しでも異常を感じたらすぐに眼科医の診察を受ける−−ことを呼びかけている。